令和6年6月、事業性融資の推進等に関する法律(事業性融資推進法)が成立・公布されました。
この法律は、事業者が、不動産担保や経営者保証等によらず、事業の実態や将来性に着目した融資を受けやすくなるよう、事業性融資の推進に関して「基本理念」「国の責務」「事業性融資推進本部」「企業価値担保権」「認定事業性融資推進支援機関」等について定めるものとして新設されたものです。
その施行期日が令和8年5月25日とされ、併せて関係法令が整備されました。
企業価値担保権制度においては、金融機関の貸付けなどを念頭に置いた特定被担保債権と、債務者に対する一般債権を念頭に置いた不特定被担保債権の2種類の被担保債権が前提とされ、事業の成長・継続に資する事業性融資の後押しという政策目的のため、特定被担保債権者に担保目的財産から優先的に弁済を受ける権利が付与されます。
特定被担保債権の債務不履行があった場合、裁判所により企業価値担保権実行手続きの開始決定がなされ、管財人が手続きを進めます。
この手続きの結果、特定被担保債権に対する配当は、配当可能額から不特定被担保債権留保額を控除した額となります。
この不特定被担保債権留保額の算定方法が定められました。配当可能額が500万円以下の場合、不特定被担保債権留保額は「配当可能額×30%」(70万円を下回る場合は70万円)となります。
また、企業価値担保権の担保権者は、事業性融資推進法で創設された企業価値担保権信託会社に限定されます。その企業価値担保権信託会社が営むことができる兼業業務の内容が定められました。
そして、企業価値担保権に関する登記の申請をする場合に登記所に提供が必須の申請情報および添付情報の内容、その他同法の施行のために必要な事項が定められました。
この法律の施行によって、決算書の内容や担保・保証によって融資の可否が判断されるのとは別に、創業間もない企業や新規事業に挑戦する企業の資金調達の機会が増えることが期待されています。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック
経営革新等支援機関(経済産業大臣より平成25年2月1日認定)